完治のために末期がん治療を知る~タイトル
完治のために末期がん治療を知る~タイトル

中咽頭がん治療/症状/生存率/余命

末期癌克服への架け橋区切り線

 
一般に「中咽頭(ちゅういんとう)」という言葉になじみがないと思いますので、その中咽頭の位置および役割から述べます。
 

1)中咽頭の位置と分類

 
咽頭は鼻や口の奥にあり食道や喉頭(こうとう)の上に位置します。その咽頭はさらに上・中・下に細かく分類されます。 上咽頭(じょういんとう)は鼻の突きあたりにありますが、直接見ることはできません。 中咽頭は口を大きく開けた時、口の奥に見える場所です。 下咽頭(かいんとう)はさらに下のほうにあり、食道や喉頭の入口付近に位置しますが、直接見ることはできません。 中咽頭はさらに4つの部位に区分されます。 まず、口を大きく開けた時に見られるいわゆる「のどちんこ」と呼ばれる突起した部分と、 その上のうわあごの軟らかい部分を「軟口蓋(なんこうがい)」といいます。 ただし、うわあごの固い部分は「硬口蓋(こうこうがい)」といって中咽頭ではなく口腔の領域に含まれます。 「扁桃(腺)」も口の奥の左右にあり中咽頭の一部で、口の奥の突きあたりの壁は中咽頭の「後壁(こうへき)」と呼ばれています。 もうひとつ、舌のつけ根も「舌根(ぜっこん)」といって中咽頭に属します。ただし、口の中に見える舌の前方の大部分は、 なめらかによく動くため「舌可動部(ぜつかどうぶ)」あるいは「口部舌(こうぶぜつ)」と呼ばれ、口腔に属します。
 

咽頭の構造「末期癌完治への架け橋」

 

2)中咽頭の役割

 
中咽頭は、食物や空気の通路ですが、食物を飲み込む嚥下(えんげ)や言葉を話す構音(こうおん)をうまく行うための重要な働きをしています。
 
がんができた場合や、外科療法を行った後に生じる症状を理解するために、中咽頭のそれぞれの部位の役割をもう少し詳しく説明します。
 
軟口蓋は、鼻と口との間を開けたり閉じたりする扉の役割をもっています。 この軟口蓋がなくなると、食べたものが鼻に流れ込んだり、話をする時に息が鼻に抜けて言葉がわかりづらくなります。 これを開鼻声(かいびせい)といいます。
 
扁桃は、幼児期には外界から進入する細菌などに対する免疫防御器官としての大切な役割をもっていますが、 成人では食物、空気の通路としての役割しか果たしていません。ただし、リンパ組織に富んでおり悪性リンパ腫の好発部位となります。
 
後壁は咽頭と頸椎の間をさえぎる壁ですが、食物や空気の通路としての役割しかありません。
 
舌根は重要な役割をもっています。食べた物を飲み込む時にこの舌根が奥に動いて食物を食道に送り込みます。 同時に誤嚥(ごえん:食物が喉頭から気管に入ってむせること)がないよう、この舌根が喉頭の上を塞ぎます。 この働きがうまくいかないと、誤嚥のため口から食事ができなくなります。
 

3)頻度と発症原因

 
頭頸部(主として耳鼻咽喉科が診療する領域)自体、がんの発生頻度は少なくがん全体の約5%といわれています。 この領域にできたがんを頭頸部がんといいます。中咽頭がんはその中に含まれますが、その頻度はさらに少なく、 頭頸部がんの約10%にすぎません。中咽頭には、扁平上皮がんの他に悪性リンパ腫、 粘膜下に存在する附属腺から発生する腺がんなどがみられますが、最も多い扁平上皮がんについて話を進めます。 わが国では、年間1,000~2,000人程度に発症する比較的まれながんといえます。 ただし、地域的には九州、沖縄など南の地域に多く発症する傾向にあり、強い酒などが原因ではないかといわれています。 また、世界的にはインド、東南アジア、フランス、イタリア、ロシアなどに多く発生する傾向にあり、 やはり強い酒や、インドのかみたばこをたしなむ風習などが、中咽頭がん発症の誘因のひとつではないかと考えられています。 男女比では他の頭頸部がんと同様に圧倒的に男性に多く、好発年齢は50~60歳代で、比較的若い人にもみられます。
 
このように中咽頭がんの発症状況から、酒とたばこが大きな要因と考えられています。 さらに頭頸部の他の領域、すなわち口腔、下咽頭、喉頭などに発生するがんも同様で、 長期の飲酒歴や喫煙歴のある人は頭頸部がんに注意する必要があります。
 

 
他の頭頸部がんと同様、中咽頭がんのほとんどは扁平上皮がんという種類のがんです。 その他、まれですが粘膜下に存在する小唾液腺から発生する各種の腺がんもあります。 また、中咽頭は扁桃をはじめリンパ組織に富んでおり、悪性リンパ腫が多発します。 これらがんの種類により治療法、予後(がんが治る見込み)が異なってきます。
 
がんは、一般に拡がりぐあいに応じて4段階の進展度(T分類)に分けられます。 中咽頭では2cm以下の大きさをT1、2cmを越え4cm以下の大きさの場合をT2、4cmを越えた場合をT3、 さらに周囲の筋、骨、喉頭などへ進展した場合をT4と分類します。
また、中咽頭がんは頸部のリンパ節に転移しやすく、 そのリンパ節転移の状態と中咽頭のがんの進展度を組み合わせて病期(がんの進みぐあい)をI~IV期まで分類し、 治療法を選択したり予後の見通しをたてる場合の参考とします。
 
やや複雑ですが、各病期について説明します。
 

I期

 
腫瘍がT1の大きさで頸部リンパ節転移がない場合。
 

II期

 
腫瘍がT2の大きさで頸部リンパ節転移がない場合。
 

III期

 
腫瘍がT1またはT2の大きさで、同側の頸部に3cm以下のリンパ節転移が1個のみ認められる場合。
 
腫瘍がT3の大きさで頸部リンパ節転移がないかあるいは同側の頸部に3cm以下のリンパ節転移が1個のみ認められる場合。
 

IV期

 
腫瘍がT4になった場合。
頸部リンパ節転移が2個以上認められる、あるいは3cmを超える大きさになる、あるいは反対側の頸部に出現した場合。
遠隔転移(腫瘍が頸部以外の離れた場所に転移すること)が認められた場合。
 

 
中咽頭がんの初期症状は、食物を飲み込むときの異和感、しみる感じなどです。 やがてのどの痛みや飲み込みにくさ、しゃべりにくさなどが少しずつ強くなり、 さらに進行すると耐えられない痛み、出血、開口障害、嚥下障害、 呼吸困難など生命に危険をおよぼす症状が出現してきます。
 
ときには、もとのがんそのものによる症状がほとんどなく、 頸部へ転移したリンパ節のはれだけが唯一の初発症状となることもあり、注意が必要です。
 
中咽頭は口を開けて見えるところが多いのですが、舌根は直接見えない場所で指でも触れにくい場所です。 そのため舌根がんを早期発見するためには、他の頭頸部がんにも共通することですが、 食べ物を飲み込む時に違和感やしみる感じがある場合に、早めに耳鼻咽喉科もしくは頭頸科を受診して、 のどの奥を診てもらうことが大切です。
 
ただし、のどは非常に敏感な場所ですから、異常がなくても違和感を感じることがよくあります。 診察で異常がないといわれたら、あまり神経質にならないほうがよいでしょう。
また、頸部のリンパ節がはれてきた場合、がん(特に頭頸部がん)の転移の可能性もありますので、 中咽頭がんをはじめとする頭頸部がんができていないかどうか、耳鼻咽喉科(頭頸科)で精査してもらうことも大切です。
 

 

1)視診

 
まず、口から光を入れて中咽頭の腫瘍の有無を確かめますが、直接見えない場合には細い内視鏡を鼻から挿入して観察します。
 

2)触診

 
腫瘍の大きさ、固さ、深部への拡がりなどを調べるため、指を入れて直接腫瘍を触れます。 のどのむかつきなどのため、少しつらい検査ですが、病気の拡がりを調べるためには重要な検査です。
 
さらに小さなリンパ節も見逃さないように、頸部を丁寧に触診していきます。あまり緊張すると頸部が固くなり、 リンパ節は触れにくくなります。リラックスして肩の力を抜くと触診しやすくなります。
 

3)病理検査

 
腫瘍の一部を採取して、がんかどうか、さらにはがん細胞の種類を調べます。採取時に多少の痛みがありますが、 がんの種類により治療法が異なるため重要な検査です。
 

4)画像検査

 
腫瘍の進展範囲、リンパ節転移の有無などを調べるためMRI、CT、X線透視、超音波(エコー)などの画像検査を行います。 どの検査を組み合わせて行うかは病院によって多少の違いがあります。
 

 
いろいろな診断法や検査により、病期とがんの種類を決定し、それに応じた治療法を選択します。 最も多い扁平上皮がんに対する治療法としては、外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法などがあります。 以前は放射線治療が主流でしたが、最近では技術の向上により、積極的に外科療法を行う場合が増えてきました。 抗がん剤による化学療法は補助的治療として行われることがあります。以下、扁平上皮がんに対する治療法について述べます。
 

1)外科療法

 
病気の部位、進行のぐあいにより手術法が異なります。小さな腫瘍の場合、 切除後に直接傷を縫い合わせて閉じることができますが、大きな腫瘍の場合、 切除後の大きな欠損部に他の場所から採取した皮膚や筋肉を移植して閉じる必要があります。こ の際、術後の咽頭の機能低下を防ぎ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を向上させるために、 さまざまな再建外科の技術が駆使されます。
 
軟口蓋の切除後には、声が鼻に抜けて不明瞭な言葉にならないよう、また食物が鼻に逆流しないよう鼻と口を境する組織を移植します。
 
舌根部の広範な切除後はひどい誤嚥をおこすため、時には喉頭を同時に切除する必要があります。 しかし、最近では舌根部に対する再建手術の工夫により、 喉頭を温存(おんぞん:切除しないで残すこと)できる場合が多くなってきました。
 
一方、中咽頭がんは高い頻度で頸部のリンパ節に転移します。そのため、ある程度進行した場合は、 中咽頭のがんとともに頸部のリンパ節を切除します(頸部郭清術:けいぶかくせいじゅつ)。 元来、この外科療法は、リンパ組織と同時に頸部の大きな血管・筋肉、肩を動かす神経を切除するため、 手術後顔のむくみ、頸部の変形・こわばり、肩の運動障害などの後遺症が出現していました(根治的頸部郭清術)。 最近では術後のQOLを向上させるため、 これらの組織を可能な限り温存する外科療法が工夫されるようになってきています(機能的頸部郭清術)。
 
なお、腺がんは外科療法の対象となります。
 

2)放射線療法

 
放射線単独で治療する場合は、I、II期といった比較的早期のがんが対象となります。 治癒する確率は外科療法とほぼ同様です。がんの治癒が期待できる治療法で、外科療法とは違い、 形態が温存でき機能障害も少ないので、治療後も治療前と同じような生活をしていくことができます。 外照射で治療する場合は、6~7週の治療期間が必要です。治療中は人によって程度は異なりますが、 咽頭の粘膜炎、味覚の変化、唾液分泌低下による口の乾きなどの症状が出ますが、 通院での治療が十分に可能です。唾液分泌低下は長期間続くことがあります。 最近の放射線治療の進歩でどちらか片方の耳下腺には放射線を照射しなくても、 がん組織には十分量の放射線照射ができるようになり、従来よりは強い口の乾きはおこさずに治療ができるようになってきています。 がんの大きさ、部位によっては密封小線源治療で治療することもあります。 外照射と比べると周囲の正常組織には少ない量の放射線しか照射されませんので、 粘膜炎の範囲も小さく、味覚異常、唾液分泌低下に伴う口内の乾燥も少ない治療です。 放射線治療中に喫煙を続けていた人の治癒率は、喫煙していない人と比べ低いといわれているので、 放射線治療開始前までには喫煙の習慣をやめることが大切です。
 
III、IV期のがんは、放射線単独の治療で治癒する確率は低く、従来から外科療法が治療の主体です。 放射線治療はがんを小さくし、手術をしやすくするために手術の前に行われたり、 手術をしてもきちんととりきれないでがんが残存していることが疑われた場合などに行われたりします。
 
外科療法ができないほど進行している場合は、放射線治療が主体で行われています。 治癒の可能性は少ないですが、がんによる痛み、出血、嚥下障害などの症状を和らげることができます。 まだ研究段階ですが、放射線と抗がん剤を合わせた治療も試みられています。 この治療法は、進行はしているけれど外科療法が行える状態のがんにも、形態および機能の温存を目的に試みられています。
 

3)抗がん剤による化学療法

 
通常の中咽頭がんに対しては、化学療法のみ単独で行われることはほとんどありませんが、 外科療法や放射線療法と組み合わせることによって、治癒率の向上をめざすさまざまな試みがなされています。
 
ただし、中咽頭に好発する悪性リンパ腫に対しては非常に有効な治療法です 。
 

 
生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。
ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考え下さい。
 
中咽頭がんの予後については、部位やがんの種類によって異なりますが、おおよそI、II期では80~90%程度、 III期で60%、IV期で40%弱という5年生存率が得られています。早期にきちんと治療を行えば比較的治りやすいがんといえます。
 
ただし注意点として、中咽頭がんの特徴に重複がんの発生率が20~30%と非常に高いことがあげられます。 つまり、他の領域にもがんが生じやすいということです。中咽頭以外に出現しやすい場所としては、他の頭頸部領域、食道、胃などです。
 
治療後にはそれまでの悪習慣(大量の飲酒、喫煙)を断ち切り、バランスのとれた栄養摂取を心がけるとともに、 積極的にがん検診を受けて第2、第3のがんの発生を予防し、また早期発見につとめることが大切です。
 
出典「国立がんセンターがん対策情報センター」

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