癌を消失させる「放射線治療」とは
■放射線治療には「外部照射」と「内部照射」がある
外部照射は、体の外から放射線を当てる方法。内部照射の例としては、密封された放射線同位元素を体内に入れる密封小線源治療と、使用する放射性物質が特定の臓器に選択的に取り入れ込まれる働きを利用してカプセルを内服する方法があります。
■目的別に行われる放射線治療
①根治的照射
ガン細胞の消失を目的とし、癌の完全な治癒をめざす。
②術前・術中・術後照射
手術との併用。目的に応じ、術前、術中、術後に行う。
③緩和的照射
低い線量を照射し、症状緩和をめざす。
④化学放射線療法
薬物療法との併用。進行ガンの治療で行われる。
※現行の医療法では、放射線治療専門医が不在の病院でも「放射線科」を掲げられます。治療をしてもらう病院は、放射線治療専門医がいる医療機関か確認しましょう!
■放射線治療中の生活で心がけたいこと
①食事をしっかり摂る
回復を早めるために、消化によく栄養価の高い食事を摂るようにしましょう。ただし、無理はせず食べられるものをゆっくり食べるようにして下さい。
②休養を取る
放射線治療後は、疲れやだるさを感じることが少なくありません。仕事や家事などができる場合もありますが、治療中は無理をしないことが重要です。
③放射線を当てた部位の皮膚を刺激しない
放射線を当てた部位は刺激に弱くなっているので注意が必要です。化粧品や香水はつけないこと。
■放射線治療の主な副作用とその対策
①疲労感・だるさ
治療中は無理に活動をせず、無理せず休息を取ること。
②食欲不振
細胞の修復のために、普段以上に栄養をしっかりと摂ること。
③皮膚の赤み、かゆみ
擦ったり、掻いたりせず、入浴やシャワーも短時間で済ませること。
④吐き気
辛いときは担当医に伝えて、吐き気を抑える薬を処方してもらうこと。
⑤下痢
消化の良い食事と十分な水分補給をしましょう。整腸剤や下痢止めの薬が処方されることもあります。
⑥口の中の乾き、口内炎
小まめにうがいをすると、口内の乾燥を防ぐとともに感染の予防にもつながります。
⑦脱毛
脱毛が始まったら医療用のかつらや帽子などを上手に活用しましょう。直射日光や乾燥に注意して、頭皮を保護するようにしましょう。
■放射線治療は単独で行われるほか、他の治療とも併用される
放射線治療は、細胞が分裂して増えるときに必要な遺伝子に作用して細胞分裂を妨げたり、細胞が新しい細胞に置き換わる際に脱落させるシステムを促したりして、ガン細胞を消失・減少させます。体の外から放射線を当てる「外部照射」と、体の内側から癌やその周辺に放射線を当てる「内部照射」に分けられます。両方を組み合わせて行うこともあります。
放射線治療に用いる放射線には、X線、γ(ガンマ)線、電子線などがあり、現在はX線を使う直線加速器リニアック(または、ライナック)が主流です。重粒子線や陽子線による治療も一部の医療機関で行われています。
実際の治療では、予めつけたマーキングをもとに診療放射線技師が照射します。一般的には、治療室に入ってから出るまでは10~20分ほどで、実際に照射されるのは数分程度です(外部照射の場合。内部照射は進め方がそれぞれ違います)。